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総理の現状

古賀茂明「不適格だった菅首相の痛々しさ」

古賀さんが現在の菅総理の現状を的確に指摘しているので、記録として貼付けておく。

テレビに映る菅義偉総理の痛々しい姿。

 何を答えても、野党から思い切りダメ出しを食らい、しおらしく謝罪したりもする。時折、感情が高ぶり、むきになって反論を試みるが、それも力がなく、かえって弱々しさを際立たせる。

 安倍晋三政権の官房長官時代、常に相手を見下し、「ご指摘は当たらない」「全く問題ない」などと切って捨てる答弁を繰り返していた頃との落差はあまりに大きい。

 昨年の臨時国会でも、その答弁ぶりには与党内から、「大丈夫か」という懸念の声が聞かれたが、何より私が驚いたのは、年明けのテレビ朝日「報道ステーション」のインタビューだ。言葉につまり、自分の政策の柱さえ出てこない。富川氏が難問を連発した訳ではない。「報道ステーション」は、私が見るところ、今や政権忖度に徹する番組に成り下がった。番組スタッフさえ「忖度ステーション」と呼ぶ番組だ。現に、このインタビュー放送後には、菅氏に肩入れした富川氏の進行ぶりがネット上で大炎上した。

 しかし、私が驚いたのは全く別のことだ。それは、富川氏のよいしょ進行にもかかわらず、菅総理の受け答えがあまりにピント外れで、覇気がなく、「この人大丈夫か?」という印象が膨らむばかりだったこと。「録画」映像なのに、編集で繕うこともできなかったのか。アウェー状態の国会とは違う。完全なホームで、しかもインチキ審判の下での大惨敗。全く救いようがない。

 そして、通常国会でも、菅総理の答弁は、見る者を不快にさせ、怒りを呼び、さらには、不安を掻き立てる。

 緊急事態で最も重要な能力。それは、国民に訴えかけ、共感を得て一致協力する体制を作る能力だ。だが、この人には、それが決定的に欠けている。つまり、今日の日本に最もふさわしくない人が首相になっているのだ。

 しかし、翻って考えると、誰がこんな人を総理にしたのか。そう思って昨年9月のことを思い返す。あれよあれよという間に菅氏が自民党総裁に選ばれ、総理大臣になった。その間、マスコミが垂れ流した「令和おじさん」「パンケーキ大好き」「雪国から出た苦労人」「安倍長期政権を支えた実力派官房長官」といったイメージの大キャンペーンで、「菅総理」誕生の流れが決まった。支持率7割のニュースもあり、国民も立派な総理が誕生したと騙された。このニュースを流したのは大手メディアの政治部記者、なかんずく官邸記者クラブの無能な記者たちだ。7年8カ月の安倍政権時代、菅官房長官の意向を忖度した記事を書き続けたのも彼ら。おかげで菅氏が「すごい人」だと思った人も多いだろう。

 つい先日、自民党議員が菅総理を訪れ、SNSの使い方を指南した。どうでもいい話だが、某大手紙の官邸記者クラブはツイッターでわざわざ「速報」した。直ちに「官邸クラブってアホなの?」とネット上で大炎上していたが、これが、日本の政治を報じる官邸記者クラブの実態だ。

 日本は民主主義の国だ。そう信じたい。しかし、メディアの堕落と機能不全で正しい情報を得られない国民に正しい選択はできない。日本の民主主義を危機から救うには、少なくとも、官邸や与党の記者クラブを即刻廃止し、政治部を解体することが必須なのではないか。

※週刊朝日  2021年2月12日号

こんなんで良いのか!

仕事部屋のエアコンの設定温度が31度でも、涼しい風が出てきて、外はそれ以上に暑く、異常な状況。西日本の被災した方々は、本当に気の毒だ。7月に入って種子法、水道法改正等の重要案件がオウム死刑囚執行などで、完全に隠されてしまい、安倍政権やりたい放題に怒りの矛先をどこへ向ければと思っていたところ、古賀さんが綺麗にまとめてくれている。

AERAdot

古賀茂明「西日本豪雨でも酒宴 火事場泥棒の安倍政権が民主主義を破壊」

気象庁が臨時の記者会見を行い、記録的な大雨となるおそれがあるとして厳重な警戒を呼びかけたのが7月5日の午後2時。最悪の場合には、かなりの災害になることは、政府関係者には予想できた。テレビの報道番組や天気予報でも、その日の夕方から、繰り返し、視聴者に注意喚起をしていた。

そんな状況下の5日夜、安倍総理を囲んで自民党議員が大宴会を開いていたことを自民党議員自らがツイッターなどで大々的に拡散するという不祥事が起きた。詳細は省略するが、例えば、片山さつき参議院議員は、「今日は27回目の #赤坂自民亭 @議員宿舎会議室、若手議員との交流の場ですが、#安倍総理  初のご参加で大変な盛り上がり!内閣からは#上川法務大臣 #小野寺防衛大臣 #吉野復興大臣 党側は  #岸田政調会長 #竹下総務会長 #塩谷選対委員長、我々中間管理職は、若手と総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい!」とツイートして盛り上がっていた。

片山氏は政治的には、ほとんど存在感のないただの議員だが、もっと罪深かったのは、官邸の要職に就いている西村康稔官房副長官のツイートだ。こちらも、

「今夜は恒例の自民亭。衆議院宿舎の会議室で、月一回食べ物やお酒を持ち寄り、党幹部と若手議員のざっくばらんに話す懇親会。選挙区の悩みを相談したり、地元の名産PR。今日は、安倍総理、岸田政調会長、竹下総務会長が勢揃い。和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!正に自由民主党」と無邪気にはしゃいでいた。

官房副長官は、官邸で、総理や官房長官を補佐する重要なポストだ。本来であれば、安倍総理に対して、「今日は大きな災害が発生するかもしれないので、お酒の席は避けていただいた方が良いかと思います」と進言するべき立場にあったが、今の安倍政権では「YESマン」と「よいしょマン」だけが重用される。自ら宴会の模様を拡散して、大ひんしゅくを買い、結局謝罪に追い込まれた。

「先憂後楽」という言葉がある。新明解四字熟語辞典(三省堂)によれば、「常に民に先立って国のことを心配し、民が楽しんだ後に自分が楽しむこと。北宋の忠臣范仲淹(はんちゅうえん)が為政者の心得を述べた言葉」とある。今回、安倍総理らは、まず、自分たちが楽しむことばかり考え、国民が大災害で苦しむ姿を見て、慌ててそれを憂うふりをした。「先楽後憂」の政治だ。明らかに国の指導者として失格だということを示している。

■オウム死刑執行をショーにした安倍政権

西日本で大水害が広がる7月6日の朝、オウム事件の死刑囚のうち7名の刑が執行された。日米を除く先進国や多くの途上国も含めて、今や、死刑廃止が大きな流れとなる中で、世界中から批判され、また大きな関心を集めたが、7人の大量処刑ということの他に、二つの点に驚いた。
一つは、事前に情報が漏れたと思われること(後述)。もう一つは、その前夜、前述の自民党の大宴会に安倍総理と上川陽子法務相が出席して酒を飲んでいたことだ。

特に、後者については、私は、ほとんど信じられない思いになった。
警察官や検察官が、取り調べ中の被疑者が自殺した場合、大変なショックを受けるという。貸付先の中小企業の社長などが借金苦で自殺した時の銀行マンも、自責の念に囚われてノイローゼになる人もいると聞いたこともある。自分が決定したことでなくても、大変な精神的ショックを受けるのだ。

総理あるいは、法務大臣として、オウムの死刑囚に対して、今やらなければならないというわけではないのに、自ら、7人もの生きている人間を殺せという命令を下す。その執行前夜に、どんな心境になるのか。その精神的重圧はどんなものか。

死刑のことは知らない議員たちと、「楽しいね」と酒を酌み交わすなどという気持ちには、絶対にならないはずだ。

普通の人間なら……だが。

やはり、安倍総理もその取り巻きも、どこか精神を病んでいるとしか思えない。

7名のオウム元死刑囚たちの死刑執行の異常さは、歴史に残るものだった。これまでは、静かに死刑を執行し、その後で公表するというのが通例だったが、今回は全く違った。6日午前8時40分過ぎ、TVキー局がほぼ同時のタイミングで、麻原彰晃(松本智津夫)元死刑囚の死刑執行手続きが済んだという報道を始め、その後も他の6人の執行手続き、7人の死刑執行の報道がほとんどリアルタイムで流れた。まるで、「死刑執行ショー」の場外実況中継だ。

安倍総理は、右翼の支持層に対して、総裁選前に、毅然とした強いリーダーという印象をあらためてアピールしたいという意図でこれを行ったという解説がなされている。NHKは、死刑執行前の7時ごろ、執行に立ち会う検察関係者が東京拘置所に入るのを撮影し、死刑執行後にそれを放送したということだ。政府が、確実に大きな報道にしようとしてリークしていたことがわかる。

ただ、私には、どうしても理解できないことがあった。死刑執行がなぜこの日なのかということだ。単純に考えると、カジノ法案、参議院の定数6増法案など、国民に評判の悪い法案を通していくために、報道ジャックをして、国民の関心を国会からそらそうと考えたということかもしれない。しかし、そうであれば、普通は、法案が成立する最終段階で、例えば、強行採決に合わせて死刑執行を行えばよいはずだ。6日にやってしまうと、数日はこの話で盛り上がっても、その後国会で法案審議の山場を迎えた時には、新たな目くらまし弾が必要になる。

■加計学園「総理案件」再発封じか?

また、死刑執行が、元々予定されていた安倍総理の欧州訪問(後に中止)直前だったということも腑に落ちない。EUとのEPA(経済連携協定)の署名式が予定され、記者会見では、死刑反対が常識となっている欧州諸国の記者から強い批判が出ることを政府は十分認識していたはずだ。総理が帰国してから、国会での法案強行採決に合わせて執行する方がずっと安全で効果的だったのではないか。

ここから先は、全くの仮説だが、安倍総理には、実は、もっと他に隠したいことがあったのではないだろうか。それは、文科省の佐野太前科学技術・学術政策局長の受託収賄事件の関係で出てきた事実だ。

佐野前局長の逮捕は、7月4日だった。この時、マスコミは一斉にこの事件に飛びついた。ちょうど、参議院でカジノ法案の審議が始まる直前のタイミングだったので、また「えさ」を撒いたなと思った。しかし、翌5日に、野党が文科省のヒアリングを行った時、ある事実が明らかになった。
それは、文科省前局長が東京医科大学に便宜供与した「私立大学研究ブランディング事業」の助成対象に、加計学園系列の千葉科学大学と岡山理科大学が選定され、しかも、募集要項に書いてある2千万~3千万円という金額よりもはるかに多い金額の補助金をもらっていたということだ。選定されたのはこの事業が始まった2016年度で東京医大は落選した年だ。198校中40校、約5倍という難関をパスしたのだ。実は、この事実は、17年12月に東京新聞が報じていたのだが、その時は、事業選定に疑いをかける根拠がなかったので、他紙は追随せず、ほとんど知られずに葬り去られてしまった。

しかし、今回は違う。東京医大の選定にあたって不正が行われていたということは、他の大学でも不正があり得るということを示すからだ。1法人から2大学、金額も平均をかなり上回るという事実と、安倍総理が補助事業選定の時期に加計孝太郎氏と頻繁に会食やゴルフをしていたということを重ねれば、誰でも特別に優遇されたのではと疑うだろう。文科省が選定の審査会の議事録がないとしているのもいかにも怪しいという心証を与える。

私は、これを知った瞬間、加計学園の獣医学部と同じことが起きる可能性があると思った。

文科省内では、選定過程でいろいろな資料が作られているはずだ。その開示を求めても、「存在しない」「廃棄した」「大学の研究の秘密に関わるから開示不可」という理由で非公表とされるだろう。しかし、実際には必ずそのような資料は存在し、複数の官僚がそれを持っている。マスコミが本気で取材すれば、これらの資料がリークされて、また、「怪文書」騒ぎが起こり、最後は、本物だという展開になる可能性は十分にある。「総理案件」という言葉が出るかもしれない。そうなったら、安倍政権は、本当の危機を迎え、秋の総裁選で、石破茂氏が一気に浮上する。そんな展開さえあり得る。

安倍総理から見れば、この話は、完全に消さなければならない不都合な真実だ。国会が終わるまで、何とか、マスコミや野党の追及を避けられれば、逃げ切りは可能。そう考えて、本件の出だしのところで、完全に報道をシャットアウトしたいと考えた。そこで、かねて大きな危機が来た時に備えて、切り札として準備しておいたオウムの死刑執行を急いで実行に移したということはないだろうか。

結局、東京新聞と毎日新聞が、国民民主党の山井和則議員の発言を引用する形で短く触れたのを除けば、大手全国紙やテレビは、この件を報じなかった。

安倍総理の自民党総裁3選が堅いというコンセンサスでまとまった大手メディアは、官邸の意向を忖度しているのかもしれない。マスコミが取材しなければ、文科省から真相に迫る情報が出て来る可能性は低い。結局、安倍総理の目論見通りに行くのだろうか。

■参議院定数6増法案、参議院で可決で民主主義終了

西日本の水害の被害が拡大する中、自民党の火事場泥棒的な動きが際立っている。

まず、カジノ法案が7月6日に参議院で審議入りとなった。この法案の主管大臣である、石井啓一国交相は、災害対策で最も重要な役割を担う大臣だ。その大臣を国会に張り付けるとは、どういうつもりなのか。カジノ法案には国民の過半が反対している。被災者に限らず、国民が望んでいるのは、行方不明者の捜索と被災者支援に政府が全力を注ぐことだ。石井国交相があくびを押し殺すのに必死という姿が映し出されるのを見れば、やはり、今はカジノ法案を審議している時ではないということは明らかだ。こんな火事場泥棒的なことは今すぐやめてもらいたい。
火事場泥棒といえば、参議院の定数6増法案も11日に参議院で可決され、衆議院に送付されてしまった。これで、今国会での成立の可能性が極めて高くなった。この法案の内容の解説は、省略するが、一言で言えば、参議院で合区された高知・徳島、鳥取・島根の選挙区で、立候補できなくなる自民党議員の当選を確実にするためだけの法案である。

もちろん、世論調査では、大部分の国民がこの法案には反対だ。「自民の、自民による、自民のための」法案をこの大災害のどさくさに紛れて通してしまうとは。自民党議員には良心というものがないのだろうか。

国民の権利として最も重要な参政権の行使について、政権与党が恣意的に自分たちの都合の良い仕組みに変えられる。民主主義が機能する最低限の条件を破壊する行為が堂々と進められている。ついに民主主義の終わりが始まったと考えた方がよさそうだ。

■火事場泥棒の「国土強靱化」

7月11日付の日経新聞電子版に「国土強靱化、予算の焦点に 老朽インフラ更新急務 」という記事が大きく掲載された。フォームの終わり
「西日本を襲った記録的豪雨など自然災害の頻発を受け、インフラの災害対策を進める国土強靱化が政府の予算編成の焦点に浮上してきた」という内容だ。

10日の自民党役員連絡会終了後の二階俊博幹事長の記者会見では、「防災はいくらしてもしすぎることはない。どれだけしてもまだ足りない」という発言が飛び出した。

国土強靱化は二階幹事長が主導する第2次安倍政権のバラマキ装置の代表。18年度当初予算では3.7兆円だが、この大幅増額を狙う動きである。

しかし、今回の災害で死者・行方不明者が200人を上回ったのは、避難が遅れたことが大きな原因だった。宴会開始前、明るいうちに避難指示を出しておけばかなりの人たちが助かったはずだ。そうした政府側の落ち度について反省することなく、いたずらに予算増額をするだけでは本当の防災にはならない。

これから西日本では膨大な復旧工事が必要となるが、今、建設土木業界は、人手不足と資機材の高騰などに苦しんでいる。こんな時こそ、予算の単純増額ではなく、むしろ、緊急性の低い予算を凍結して、その分を被災地復興に充てるべきだ。そうすれば、人が足りない、ダンプが足りない、コンクリートが足りないという事態の緩和につながり、真の復旧支援に役立つだろう。

自民党が「国土強靱化で予算大幅増」を叫ぶ裏には、19年に統一地方選と参院選を控え、予算のバラマキで地方の票を集めたいという邪念がある。「防災」「復旧」を錦の御旗にして、公共事業費バラマキへの批判を回避する。人々の災いに乗じて、自らの利権拡大を図る。こんな自民党の動きは全く許せない。

国土強靭化で予算を増やすなら、何を減らすのか。プライオリティ付けをするのが、政府の重要な仕事だ。国防予算もこれからどんどん増やすのが安倍政権の方針だが、全ては赤字垂れ流しで行う。そんなことなら、高校生にもできる。

今や、国会は、火事場泥棒活躍の舞台と化した。こんなことなら、さっさと国会を閉じて、秋の臨時国会まで、国会議員は全員、被災者支援のためにボランティア活動をするべきだ。国民の苦しみを知れば、少しはまともな政策論議をする気になるのではないだろうか。

老朽化マンションの悲鳴

文春オンライン

高齢者の単身世帯が激増している。マンションにおける高齢者の単身世帯数については正確なデータが存在しないが、2013年度に実施された国土交通省の「マンション総合調査」によれば、東京都内のマンション世帯主のうち、70歳以上が世帯主である住戸が2割、50歳以上が7割を占める。こうした現状からは、今後多くのマンション住戸が相続の対象となってくることが容易に想像される。

かつては親が子に残す財産で最も価値の高いもののひとつが自宅だった。不動産は財産としての価値が高い。つまり、相続人が「住む」こともできれば、人に「貸す」こともできる。最後には「売る」ことで現金にも換えられるということで、相続人の間ではこの親の残した自宅の相続をめぐって醜いトラブル=「争続」問題が生じていた。

東京都内だけで60万戸近くの賃貸住宅が空き家に

ところが最近はやや状況が異なるようだ。都心居住が主流となる中、親の自宅を相続しても、自身で「住む」つもりはない。賃貸に出しても、築年が経過したマンションでは住宅設備は古く、部屋の内装も時代遅れでなかなか借手がつかない。かなりのお金をかけてリニューアルしても立地に劣るマンションになると満足な賃料で貸せるケースは少なくなっている。賃貸住宅の空き家は東京都内だけでもなんと59万8000戸も存在することがこの状況を物語っている。

親の残した自宅の不動産価値がそれほどでもないことに気付き始めた相続人たちはむしろ現金や株式を優先し、不動産を敬遠して相続人同士で押し付けあうというような場面も増えているという。

こうした状況で相続したマンション住戸。管理上でもやっかいな問題を引き起こしている。相続人がマンション住戸を相続したことを管理組合に連絡しないケースが増えているのだ。

親のマンション住戸を相続はしたものの、部屋内の片付けだけでも一苦労。住戸は傷みが激しく、賃貸するとしても相当額のリニューアル費用がかかる。ただでさえ欲しくもなかった住戸を無理やり相続させられた相続人は、その事実を告げずに放置、結果として管理費・修繕積立金が滞納となるのだ。

マンションを継ぐ気がさらさらない相続人

通常であれば管理組合は、相続人が確認できれば、当然にして相続人に対して管理費・修繕積立金の請求を行うことになる。ところが相続人としての届け出が行われず、どこに請求してよいのかわからなくなるケースが発生しているのだ。

相続人を見つけ出して、滞納分を請求できても、相続人が外国住まいであったり、相続人が複数存在すると各相続人間の共有財産ということでコミュニケーションが取れずになかなか思うように徴収できないケースも増えている。

首都圏郊外のあるマンション管理会社の社員は、最近の事情を次のように話す。

「最近は相続人の方をつきとめても、本人にマンションを継ごうという意識がさらさらありません。なかには『困っているなら差し押さえでもして売ってくださいよ』と言われる始末です」

700万円かけて売却に出しても売れない!

この相続人が言うように最終的にはマンション住戸を差し押さえたうえで、競売等にかけて滞納分を回収していくというのが法律上の手続きとなるが、時代環境は変化している。以前であれば、流通市場に売りに出せば確実に売却できたマンションも、立地や築年数、設備の状況などによっては全く買手がつかないマンションも出始めている。競売によって確実に滞納金が回収できるという保証はどこにもない。

管理費の滞納が300万円、住戸内の後片付け費用で100万円、リニューアル費用で300万円、管理組合で計700万円かけて売却に出したものの、売れない。最終的に売却できた金額は400万円だったなどという事例も珍しい事例ではなくなっている。差し押さえるための手続き、弁護士費用などを支払うにも組合員から集めた管理費しか元手がない中、管理組合もおいそれと手が出しにくいというのが現状だ。

相続人のいない「おひとり様」マンションの増加

さらに問題がやっかいになってくるのが、相続人がいないマンション住戸の増加だ。「おひとり様」があたりまえになってきた日本社会。少子高齢化による人口減少は核家族どころか結婚をしない、兄弟、身寄りのない単身者の増加を招いている。こうした区分所有者に相続が発生すると、相続人がいないということになる。

相続人が存在しない、または相続人が全員相続を放棄した場合、マンション管理組合は家庭裁判所等が選定する相続財産管理人と対峙することとなる。つまり管理費・修繕積立金等の請求を相続財産管理人に行うこととなるのだ。通常相続財産管理人を選定する場合は東京地裁などの場合、100万円ほどの予納金を納付しなければならない。相続財産からあらかじめ差し引ければよいのだが、該当金額を引当できない場合はやはり管理組合の負担となる。

こうした住戸は最終的には売却することによって現金化することとなるが、現実は予納金すら回収できないケースも見受けられるのだ。

こうした事態に対して、市場性がないのであれば無理に売却せずに国庫に入れて国から管理費・修繕積立金を徴収すればよいという人もいるが、国が国庫としてとることは事実上ない。仮に国庫に帰属させたとしても法律上、国は「特定承継人」ではないので管理費・修繕積立金等を支払う義務はないということになる。

マンションの永住化? それともスラム化?

管理費・修繕積立金の滞納が多いマンションほど老朽化が激しく、市場における流通性に欠ける物件が多くなる。そうした住戸ほど誰も相続したがらない。相続を放棄する、相続をしても住戸を放置し、管理費・修繕積立金の支払いを免れ続ける。売却しても債務全額の回収には程遠く、そもそも売却すら叶わない、こんな物件が今後急速に増加してくる可能性が高くなっているのだ。

マンション永住化などというが、世代を跨いで価値が持続できない多くのマンションが今後スラム化への道を歩む可能性が高いのだ。そんなマンションに資産価値を求める現代人は、マンションというあやふやな共同体の持続可能性をよく見極めるべきなのだ。

株価3

本日も300円の上昇で、24,000円を上回る。米国株価の上昇などを好感している模様だが、地所や住友不など不動産株の上昇が目立つとは言うが、本当なのかね。都心の不動産ばかりが上昇は、逆に不安な気分になるのだけれど。エリートほど、市中の実態を掴んでないような気がするが・・・。

以下、AERA dot転載

日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を更新し、日本経済は好調を維持している。だが、景気拡大は実感をともなっておらず、特に中小企業の先行きは厳しい。経営に問題はなくても、後継者不足などから経常黒字の状態で事業の継続をあきらめる「黒字廃業」も相次いでいて、その数は廃業する会社の約5割にのぼる。

一方、ベトナムなどの東南アジアの新興国は今、日本の中小企業の知識や技術、機械設備などを「宝物」と見て、次々に買収している。日本経済の“基盤”となって戦後の経済成長を支えてきた中小企業が、いま足元から崩れようとしている。苦悩する現場を追った。

* * *

「もう、この地域でものづくりの現場は壊れてしまった」

栃木県内で機械加工業を営んでいた60代の望月宏一さん(仮名)は、静かな口調で業界の窮状を訴えた。

望月さんは、父が戦争から帰ってきた直後に創業した町工場の一家に生まれ、地元の工業高校と大学の工学部で学んだ。卒業後は東京で就職したが、約30年前に工場を手伝うために故郷に戻ってきた。

工場は機械部品の加工を得意とし、採算の悪い少量多品種の注文であっても、引き受けた仕事は確実にこなしてきた。その歴史は「戦後日本の高度経済成長とともに歩んできた」(望月さん)という。

望月さんが地元に戻ってきた90年代は、携帯電話が日本で普及し始めた時期。新設される電波塔の部品の注文が次々に入り、事業も好調だった。最盛期には約20人の従業員がいた。

望月さんは「ウチはそんなに技術力のある企業だったわけじゃないよ」と謙遜する。だが、「今だから話せるけどね」と言いながら教えてくれたのは、国家機密に関わる仕事の話だ。かつて工場では、90年の湾岸戦争で有名になった米国製パトリオット・ミサイルの部品を製造していたのだという。

「図面を渡された時は、何の部品なのかわからなくて不思議だった。商品名は『パトーリ』とか書いててね。それが後になって、発注元の担当者が『ミサイルの部品です』ってこっそり教えてくれた。重要な部品は米国でつくってるんだろうけど、こんな町工場まで依頼が来るとは驚いたね」(同)

それが、2000年代に入って日本全体がグローバル化の波に飲み込まれると、業界の環境が一変。製品価格が下がり、取引先は人件費の安い海外の工場に発注を次々に移していった。

「昔は、この地域に進出してきた企業も『地元の企業を育てよう』という気概があって、僕らみたいな小さな工場でも大事に育ててくれた。仕事もみんなで分けあって、厳しい時も助け合って頑張った。そんな時代は終わってしまったんですね。今は人件費の安い国に注文がいくだけです」(同)

おととし、大きな転機もあった。一緒に会社を経営してきた弟が、がんで亡くなった。これを機に「続けても、未来が開けるわけではない」と考え、事業の清算を決意した。会社には金融機関への借金もなく、資金繰りに困ったわけでもない。ただ、赤字に陥る前に、自らの代で会社をたたむことに決めた。

そこには、「弱肉強食」のグローバル社会で、大手資本に技術やノウハウが簡単に吸収され、海外に持っていかれてしまうという、日本のものづくり企業の苦悩もあった。

「会社の清算は、4年ぐらい前から考えていた。取引先の会社がヨーロッパの多国籍自動車企業に買収されてね。最初は日本の仕様で生産を続けてたけど、1年ぐらいでベトナムの工場に生産を移した。その間に、どんな技術を使って部品をつくっているかを理解したんだと思いますよ。それでウチの工場は必要ないと判断したんでしょう」(同)

望月さんの知人にも、事業の継続をあきらめる人が相次いでいるという。なかにはグローバル化する世界に合わせて、取引先の企業と一緒に海外に進出した経営者もいたが、現地での事業に失敗し、最後は首をつってしまった。

「製造業で日本の中小企業というと世界最高峰の技術を持つ会社ばかり注目されますけど、そんなのはほんの一部。ほとんどが、僕らみたいな町工場。若い人も業界に入ってこないし、日々の仕事で手いっぱいで、新しい事業を考える余裕もなかった」(同)

一方で、廃業を決意した望月さんの工場を欲しがった人たちもいる。新興国のなかでも新たな「世界の工場」として注目を集めるベトナム人だった。

「業者に機械の買い取りをお願いした時、見積もりを出してきたのはベトナムやパキスタンなど東南アジアの新興国の人ばかり。今は中国や韓国よりも、東南アジアの方が日本の技術や機械を欲しがっているんだね。ウチの機械も最後はベトナム人が600万円で買い取って、そのままベトナムに輸送した。機械は今でもちゃんと使えるものだけど、日本人で買いたい人はいなかった」(同)

日本の中小企業の技術や機械設備が、あっさりと海外に流出する。なぜ、こんなことが起きるのか。中小企業の経営に詳しい東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏は言う。

「東南アジアの新興国は、自国の経済発展に合わせて日本の中小企業の技術を欲しがっています。日本人が、何十年もかけて培ってきた知識や技術、機械設備が現金で安く買えるなら安いものだからです。一方で、日本人には中小企業の技術が国外に流出していることへの危機感が弱い。技術がちゃんと後世に引き継がれなければ、日本のものづくり産業は“焼け野原”になりかねません」

経済産業省の分析では、日本の中小企業のうち127万社が後継者不在で「廃業予備軍」の状態にある。2025年には6割以上の経営者が70歳を超え、「大廃業時代」を迎えるとの指摘もある。

東京商工リサーチの「授業経営の継続に関するアンケート調査」によると、廃業を考えている中規模法人のうち、売上高で経常利益が出ている企業は64.8%にものぼる。なかには10%以上の利益率を持つ企業も3.4%いた(表参照)。

廃業を考えている理由のトップは「業績が厳しい」(37.3%)だが、「後継者を確保できない」(33.3%)が続く。なかには「従業員の確保が困難」(17.3%)、「技能等の引き継ぎが困難」(14.7%)など、経営の悪化とは関係のない理由も目立つ(表参照)。

“知る人ぞ知る”と呼ばれてきた日本の有名企業の廃業も、すでにおきている。2015年には、折れにくく、書きやすい高品質のチョークとして「チョーク界のロールスロイス」と呼ばれていた羽衣文具(愛知県春日井市)が廃業した。

黒板に字を書いた時に「とめ」や「はらい」がきれいに出るため、教育関係者を中心に愛好者がたくさんいた。廃業が発表された後は、愛好者からの買いだめを求めるファクスと電話が鳴りやまなかったという。だが、国内では事業の引き受け手が見つからず、製造機械の多くと商標は韓国の企業に譲渡された。前出の友田氏は言う。

「企業の持っている技術や資産を引き継ぐ事業承継は『技術承継』でもあるのですが、工業高校は減少し、若手の人材も不足している。中小企業が廃業すると、地方経済への打撃も大きい。政府は18年度から中小企業が事業承継をしやすくするよう税制が改正する予定ですが、さらなる対策が必要です」

望月さんは、昨年10月に事業に関するすべての清算を終えた。ベトナム人が機械を買い取ってくれたおかげで、工場の敷地を更地にすることもできた。ただ、手元にはお金はまったく残らなかった。それでも望月さんに後悔はない。

「工場をやっていた時は毎日が不安で、何かに追われているような日々だった。それがようやく終わった。正直、ホッとしました」

ただ、日本という国の未来を考えると、こうも思う。

「現場の状況が厳しくて、下請けを引き受ける中小企業の多様性がどんどん失われている。このままでは日本の『ものづくり文化』が持続するとは思えない」

日本の企業の総数に占める中小企業の割合は99.7%。株高の話題が繰り返しニュースになるなか、日本経済を支えてきた技術や知識、ノウハウといった「宝物」が、次々に消えている。(AERA dot.編集部・西岡千史)

製薬業界も冬到来

ダイヤモンド・オンライン 転載

4月にスタートする薬価制度の抜本改革も逆風となり、製薬業界に寒風が吹きすさぶ。本誌の取材により、抜本改革と前後して、メガファーマの日本法人で大量のリストラが断行されることが分かった。国内製薬各社も近年、人員を絞っており、今後一段と整理が進む可能性が高い。(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)

「業界の将来見通しがさらに暗くなったタイミングで、早速の大量カットだな」

製薬会社の営業担当であるMR(医薬情報担当者)たちは現場である医療機関で顔を合わせると、そんな話題で持ち切りだ。メガファーマ(巨大製薬会社)である米メルクの日本法人、MSDで大量の早期退職者が出ると2017年末に判明すると、あっという間に業界内にうわさが広まった。

MSDは16年売上高で米ファイザー、スイス・ロシュ、スイス・ノバルティスに続く世界4位のメガファーマ。日本でも売上高トップ10に入る。17年初めには、小野薬品工業の画期的ながん免疫治療剤「オプジーボ」と同様に、免疫チェックポイントを阻害する仕組みを持つ「キイトルーダ」を発売して注目を集めた。

同じ会社が年末にも注目を集めた発端は、昨年10月中旬に行われた早期退職募集にある。

MSDは「組織に関することで一切公表しない」とするが、同社関係者によると、会社が大義名分に掲げたのは生産性の向上。国内の同業他社と比べても、グローバルのメルクと比べても、「1人当たりの稼ぎが少ない」ことが理由であると会社側は説明した。要は「人員がだぶついている」のだ。

全従業員約4000人に対し、募集人数は約250人。部門はMRを含む営業、管理など幅広く、17年末時点で勤続2年以上かつ30歳以上が対象だ。50歳以上には最大12カ月分の「特別追加金」が上乗せされたことから、主なターゲットは50代であったことがうかがえる。

同社は募集結果も公表していないが、ある社員は「結果的に早期退職者は約400人」と驚くべき数字を証言する。なんと会社の想定を約150人も上回った。対象者は原則3月末で退職する。

応募が殺到したのは、「特別退職金が手厚かったのもあるが、先がないと見切った若手が少なくなかったから」と前出の関係者は打ち明ける。

会社側は出ていく者にアメを、踏みとどまる者にはムチを用意した。1月から課長級以上はほとんど降格扱いだという。「50代の営業所長が1月から軒並み現場のMRになったりしている」と前出の社員。それでも「ほそぼそとしがみつくしかない」と力のない声が聞こえる。

期待の大型新薬を発売したメガファーマですら、これが現実なのである。

最大手の武田で大勢が出向、転籍国内も続々人員減

画期的な新薬の開発難易度も、それに掛かる研究開発費用もますます上がっている。製薬業界はヒット製品を簡単に生み出せない苦境に立たされている。

社会保障費が高騰する中、約1年にわたる議論の末に薬価制度の抜本改革の骨子が17年末に決まった。薬価の毎年改定、革新的新薬に対する薬価優遇の大胆な見直し、特許が切れた新薬(長期収載品)の薬価大幅見直しなどがその内容。要は、画期的な新薬には高い値を付けるが、それ以外はどんどん引き下げるというもの。製薬会社には寒風以外の何物でもない。

その寒風は外資製薬に限って吹くわけでも、今になって吹き始めたわけでもない。

国内製薬大手4社(武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共、エーザイ)の人員数の推移を見ると、12年度に約2万2000人だったものが16年度は約2万人と、およそ1割減少している(下図「最近の主な人員削減」参照)。新規採用の抑制や早期退職募集などの結果だ。

国内最大手の武田薬品は研究開発体制や組織を見直し中で、17年度も多くの人員を子会社や関連会社へ出向、転籍させた。減少幅はさらに広がる見込みだ。

 

周囲の製薬業界友人は、のんきで余裕がある感じであったが、たまたま運が良いだけなのか?どこの業界も人減らしが加速していくようだ。どうなるんだろう。

増加する家賃滞納

東洋経済オンライン 中川寛子

家賃滞納が増えている。雇用の不安定さや景気の停滞といった理由もあるが、「それ以上に根の深い問題がある」と、大家から依頼されこの15年で2000人以上の家賃滞納者と向き合ってきた司法書士の太田垣章子氏は語る。

天空の城として知られる兵庫県の竹田城城主の末裔という名家に生まれた太田垣氏は、離婚後にシングルマザーとして極貧生活を送った経験の主。滞納はしてはならないものとしながらも、経済的に困窮し、滞納せざるをえなかった人の人生をなんとかいい方向に向かわせたいと、奮戦している。

なぜ滞納が増えているのか

多くの人にとっては、家賃は最大の支出であり、一般には、手取り収入の3分の1以下が、生活を破綻させないためにも、望ましいとされている。かつては仲介にあたる不動産会社がこの点を慎重に審査した。滞納する人を入居させたとなると大家さんに責められ、仕事を失いかねないからである。

ところが、ここ10年ほどで家賃保証会社が爆発的に増え、審査が甘くなった。家賃保証会社とは賃貸住宅の契約時に連帯保証人を代行する会社で、家賃滞納があった場合には借りた人に代わって払ってくれる。もちろん、ずっと払ってくれるわけではなく、払った額が一定以上になると厳しい取り立てが始まるが、それは不動産会社には関係ない。保証会社が払ってくれるなら、本人の支払い能力はさほど問わなくても良いと考える不動産会社が出てきたのである。

しかも、家賃保証会社の審査も競合が多いので大甘だ。2016年に国土交通省が任意の登録制度を作るまで監督官庁が明確でなかった家賃保証会社は、許認可要らずで設立可能。全体で何社あるのかもわからない業界である。消費者金融で取り立てをしていた人が立替えた家賃を回収しているケースが多いと聞けばおおよそ、どのような業界かは推察できよう。

結果、手取り20万円の収入の人が家賃10万円のマンションを借りるなど、何かあれば払えなくなっても不思議はないケースも頻出するようになった。生活費が足りなくなったらキャッシングも容易だし、若い人の場合は転職を安易に考えて失業状態に至ることもしばしば。

加えて家賃は携帯電話やガス・電気などのように払わなければ使えなくなるわけではなく、取り立ても厳しくはない。そのため、支払いが後回しにされがちで、気づくと借金まみれのうえに、滞納が3カ月以上にも及ぶなど、払えなくなってしまうのである。

そんな家賃滞納者には2種類、目立つ人たちがいるという。1つは「家賃など払わなくても平気」と考える、モラルの低い人々だ。滞納が3カ月以上になると明け渡し訴訟が提起され、事前の催告を経て強制執行に至ることになる。強制執行では執行官、執行業者が室内にあるすべてのモノを撤去、室内をカラにしたうえ、住んでいる人も退去させられる。住む場所がなくなるわけで、普通ならそんな事態は回避したいと思うはずだ。

だが、そうした人々が慌てることはない。執行は催告から1カ月後と決まっており、その間は普通に住み続け、大体は直前に身の回りのモノだけを持って出て行くのだという。

「強制執行で室内に入ってみるとまだ温かい湯飲みが置かれていることなどもあり、直前まで普通に生活していたことがうかがえます。ランチ営業後に執行してくれと告げてきた飲食店では、ランチタイムで使った皿が汚れたまま積まれ、鍋の油がまだ熱い状態で経営者が出ていきました」と、太田垣氏は話す。

家賃を払わずに次から次へと引っ越す人も

強制執行にかかる費用は本来、執行される人、つまり入居者が負担することになっているが、家賃を滞納している人に払えるはずはなく、たいていは大家負担になる。それを防ぐ意味もあり、太田垣氏は入居者に連絡を取り、強制執行前の任意退去を勧めているが、彼らにとって強制執行は慣れたもの。

「聞くと親もそうだったというケースが多い。貧困の負の連鎖があるのです。そうした人たちは払えないなら払わなくていい、いざとなったら生活保護があると思っています」

しかも、強制執行に至る滞納をしていても家賃保証会社が保証してくれれば、次の住宅は借りられる。住宅ローンなどの場合、信用情報は共有されており、滞納があった場合には次を借りることは難しいが、家賃保証会社間の情報共有は極めて限定的だ。滞納をしても次から次に引っ越せば、家賃を払わずに住み続けられると考えている人もいるのである。

もう1つは、親子関係が悪い人たちだ。貧困と親子関係がダブルということもある。女性の場合は親が許さない結婚をしたため、夫が失業して逼迫するなどしても親に頼れず、滞納が始まり、どうしようもなくなるというのが典型的な例だ。

親に結婚を反対されて家を出て2人で暮らし始めたものの、夫婦ともに精神疾患を患い、失業して家賃が支払えなくなる人たちも少なくない。しかも、彼女が妊娠中という例もあった。

この時には太田垣氏が付き添って両家の親たちと話し合いの場を持ったものの、実家に戻れ、中絶しろと主張する親と意見が合わず、結局、2人は行政を頼って生活保護を受給することになり、転居していったそうだ。

男性の場合には失業や引きこもり、精神疾患などで実家に戻ってくると世間体が悪いと考える親が息子に一人暮らしをさせていたものの、そこで滞納が発生というケースが目立つ。

「親は元校長で地元の名士。息子は大手企業に勤めていたのに脱サラして、起業に失敗。地元に戻ってきてほしくない親は滞納の度に払い続けてきましたが、高齢になって払えなくなった。そこで息子を退去させることになったのですが、40代を過ぎるまで自立できなかった子どもはもちろん、世間体優先できた親にも責任があるのでは。情けない話です」

滞納者を説得し、人生にかかわる

この男性は強制執行で出て行ったそうだが、日本では住む場所がなくなると生活に大きな支障を来す。日本のほぼすべての書類には住所を書く必要があるからだ。それが書けないとしたら仕事を見つけるのはもちろん、新たな携帯電話すら手に入れられない。前述のようにずる賢く立ち回れる人もいるが、それ以外の滞納者にとっては、強制執行は大きなペナルティなのである。

そのため、太田垣氏は可能なかぎり、滞納者にかかわり、強制執行を避けようとしている。任意退去のほうが大家の負担が少ないということもあるが、滞納者に傷がつくのを避けられるだけでなく、可能であれば金銭感覚や親子関係を変え、人生をやり直してほしいと考えているからだ。

明け渡し訴訟を弁護士に頼む場合、物理的なやり取りはほぼ必要ない。こうした中、現地に赴いたり、滞納者と話をしたり、親との話し合いを調整したり、さらには、生活保護申請に同行したり、といった訴訟に関係のない雑務をやっているのは、おそらく日本広しといえど太田垣氏くらいだろう。

太田垣氏がここまで真摯に滞納者と向き合う理由は、冒頭にあるとおりだ。太田垣氏自身、家賃支払いにも苦しむ極貧時代を送った経験があるからである。竹田城城主の太田垣家の末裔として裕福な家に育った太田垣氏は見合いで病院経営者と結婚。何不自由ない生活を送っていたが、子どもが生まれてすぐに夫の不倫が発覚。6カ月の息子を連れて離婚した。

世間体を気にする実家での生活に耐え兼ね、自立はしたものの、シングルマザーにできる仕事は少なく、生活はかつかつ。そこで司法書士の資格取得を思いつくのだが、それまで法律を勉強したこともない身には容易なことではない。

家賃と勉強のための費用を払うと残りが3万円。それで食費、光熱費、雑費を賄い、夜11時から夜更けまで、夏には38度にもなる部屋で勉強をしたという6年間は長く、苦しく、通勤途中で何度もこのまま電車に飛び込んだら楽になれると思った。

母の日に花束を送ってくれる女性

5回目の挑戦で資格を取得したが、シングルマザーを雇う事務所はなかった。最初の1カ月は無給という条件で職を得たものの、収入は相変わらず少ない。そこで思いついたのが不動産会社への営業だが、いちばんおいしい仕事である登記はほかの会社に頼んでいることが多く、いくら回っても仕事が取れない。そんな時に家賃滞納に困っている会社と出合い、やったことのない明け渡し訴訟に携わったのが今につながった。

そうした経験から、太田垣氏のシングルマザーなどの困窮者に向ける目は優しい。数は多くはないが、そうしたかかわりが功を奏したこともある。毎年、母の日に送られてくる花束の1つは、かつて支援した女性からだ。彼女は、親が認めぬ結婚後、3人の子どもをもうけたが、夫が働かないうえ、薬物使用で逮捕され、家賃が払えない状態に陥っていた。

この女性は夫の逮捕直後に離婚し、太田垣氏の助言で親に頭を下げて滞納分を払ってもらい、母子のシェルターに身を寄せた。その後、働いて自立できるようになったそうで、太田垣氏との出会いが転機だったとそれ以来花が届くという。

滞納に至る無駄遣いを見直し、引っ越しをして生活を立て直すべき、とアドバイスした男性から数年後に「ようやく正社員になれました」と手紙をもらったこともあるという。親身のアドバイスが人を変えることもあるのだ。

とはいえ、世の中には滞納者は多く、住宅に困っている人も減ってはいない。太田垣氏は日本には金銭教育がないことを指摘し、身の丈にあった暮らしを考える必要性を説いている。また、自分ができることとして、「R65+」という高齢者が賃貸を借りやすい仕組み作りにかかわっている。いずれはシングルマザー向けの基金もと考えているそうである。

笹子トンネル事故:中日本高速元社長ら8人書類送検

毎日新聞

2012年12月、9人が死亡した山梨県大月市の中央自動車道笹子(ささご)トンネルの天井板崩落事故で、山梨県警は30日、管理会社の「中日本高速道路」と保守点検を行っていた子会社「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」の当時の両社長ら8人を業務上過失致死傷容疑で甲府地検に書類送検した。

県警は事故原因について、老朽化したボルトが脱落してつり金具が外れ、コンクリート製の天井板などが連鎖して崩落したと断定。00年の検査でボルトの一部に脱落や緩み、腐食が確認されており、遅くとも事故2カ月前に詳細な点検や検査を実施すべきだったと判断した。送検を受け、同地検が起訴の可否を判断する。

送検されたのは、いずれも当時の中日本高速の金子剛一社長と吉川良一専務、中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京の岩田久志社長と風間匡副社長の役員4人と、両社の保守点検の担当者ら4人。

8人は12年9~10月、特殊なハンマーを使って不具合を調べる打音検査などを怠り、コンクリート製の天井板を支えていたトンネル最上部のアンカーボルトの緩みを見逃して、約2カ月後の同年12月2日に発生した天井板約340枚の崩落事故を招いたとされる。

トンネルは1977年に完成。換気のため天井板を取り付けて空間を設けていた。天井板は最上部からボルトで固定したつり金具で引っ張る構造だった。

中日本高速側は社内のマニュアルで、打音検査や、触診や機器を活用した詳細点検を5~10年に1回程度行うと定めていた。しかし、最上部のボルトの詳しい点検は00年が最後で、崩落2カ月前の点検でも目視確認にとどまっていた。【滝川大貴、井川諒太郎】

そもそも重量物であるPC版を20年以上経過したホールアンカーで支えていること自体が異常であり、これを機に私は極力高速道路を使用することは控えている。ほぼ役所と変わらない無責任なNEXCOの体質が浮き彫りになった事件である。

株価2

株価がようやく下げ始めた。日銀メンバーもいつの間にか全員が晋三の息のかかったメンバーで、全て緩和派ばかり。こりゃどうしょもないインチキ相場だな。自民大勝で、益々公然とインチキがまかり通る世の中、みんなこんなんで良いのでしょうか。

株価

株価が21年ぶりの高値。全く実感が無い。どれ程の人が恩恵を受けているのであろうか、不思議でならない。今年6月には、ヒンデンブルグオーメンも出たはずだが、誰も忘れている。根拠なき熱狂も限られた金持ちだけか。